自分も真似出来た。「ピクサー流 創造するちから」で分かったメンバーが輝く組織マネジメント

読書

好きなピクサー映画はありますか?

好きなピクサー映画はありますか?

自分は子どもの時から「トイ・ストーリー」が不動の1位です!

各キャラクターが魅力的なのはもちろんですが、

子どもの成長とともに変わるおもちゃの関係性の変化がたまらなく切なくなります。

大学受験の時期に「トイ・ストーリー3」が公開され

予備校の友人達と勉強の息抜きに観に行き

みんなで泣いたのが良い思い出です。
(一番好きなキャラはスリンキーです。)

今でもピクサーは子どもから大人まで笑えて・感動する

それでいて見たこともない世界観の作品を届けてくれています。

大人になるとこんなにも素敵な作品を生み出し続ける秘訣は何だろうと気になる瞬間がありました。

「ジブリの宮崎駿監督のような超監督が多くの作品を生み出しているのか?」

「斬新なアイディアが降りてくる天才クリエイターの集団なのか?」

自分の予想はどれも全く違いました。

この本では

・ピクサーがいかに失敗を繰り返してきたか
・そこから何を学んでどう変えたのか
・どうやってマネジメントすれば創造する文化を守れるのか?

そんなピクサーの試行錯誤が書かれています。

単なる作品の制作秘話ではなく、組織マネジメントや社内制度の導入、他部署との連携などについて

失敗談も踏まえて赤裸々に教えてくれています。

働いている方々にとってはピクサーで発生した失敗はとても共感出来るものが多いはずです。

ピクサーが好きなだけでなく普段お仕事で組織マネジメントや企画・制作をする人たちに役立つ内容になっています。

いきなりマネジメントって何すればいいの?

仕事をしていて時間が経つと自然にマネジメントを任されます。

マネジメントすることになったけど何すればいいの?

こんな気持ちの方も多いはず。

実際に自分も後輩を持った際に

「仕事は教えられるけど、これで合ってるの?」

と探り探りだった経験があります。

著者のエド・キャットムルはピクサーの創設者であり、

コンピュータ・アニメーションのゴリゴリの技術者ですが、

ピクサーを立ち上げて作品制作に携わりながら経営側に注力していきます。

そして「マネジメント?何すればいいの?」という自分と同じような問題に向き合います。

自分が本書を通して好きな点は

エド・キャットムルが技術者・科学者らしく

仮説→検証→仮説→検証・・・

と繰り返しながら

どうやったら創造性溢れる組織を維持出来るか?

を研究していることです。

よくある「強いリーダーシップ」や「自身の理念」のような内容ではなく。

社内の事実を整理して次の手を打って、調整する。

そんなたくさんの問題解決が本書では書かれています。

何がメンバーの仕事の邪魔をしている?

仕事をしていてネックになっていることってありますか?

例えば

アイディアはあるけど立場に遠慮して言えない
変化を嫌うので仕事の改善を提案しづらい
失敗が出来ないので前例踏襲の成功率の高い方法を取る」など

挙げればどんどん出てきますね。

「ピクサーのクリエイター集団だからガンガン意見を言えるんでしょ?」

と思っていましたが本書を読むと違うようです。

ピクサーで働く人たちも

「変化は不安。失敗・意見を言われて否定されることは怖い」

自分たちと同じですね。

この不安や恐怖を与えるものを見つけて取り除きメンバーが効果的に仕事に取り組めるようにすることがマネジメントでは大切と本書では伝えてくれています。

本書の一部の例ですが、

ピクサーでは作品制作の会議での取り組みで「ブレイントラスト」というものがあります。

この会議では作品をより良くするため参加メンバーは、役職や立場に関係なく、デモ作品に対し『率直に意見を交わす』というルールのもと、建設的なフィードバックを行います。

ピクサーでは数ヶ月ごとにブレイントラストを行い

監督はその意見から改善案を考え作品をブラッシュアップしていきます。

「それでも、批判になったりしないの?」

と思う方もいるとは思います。

マネージャーはブレイントラストに参加しますが、

役割は「率直さ」が失われないように常に会議の健全な進行をサポートします。

他にもたくさんの手法が本書では紹介されています。

ついついマネジメントに答えや完璧な制度を求めてしまいますが、

マネージャーは常に「不安や恐怖を与えるものを取り除く努力を続ける」ことが大切だと教えてくれます。

大前提としてメンバーを信じている

「ああしろ、こうしろ」という方針はなく

メンバーは創造的で貢献出来る力を持っているので

その力を発揮できない原因となっている障壁を取り除くのがマネジメント

ということに自分はハッとさせられました。

無意識に
「この人の力量はこのくらい」
「後輩の力はまだまだ」

と思っていないだろうか?と反省しました。

メンバーを信じるとは簡単ではないですよね。

そもそもメンバーのことをそこまで知らないこともあると思います。

ピクサーでは「ピクサー・ユニバーシティ」という

プログラミングやバレエ、演技などのレッスンを受講出来る制度があります。

ピクサーにとってこの制度のメリットは

「部署や上下関係なく横並びでコミュニケーションをとれる」

ということです。

熟練アニメーターの隣に法務の人が座り一緒に興味のあるレッスンを受ける。

この光景をイメージしただけで社内の信頼関係や柔軟な考えに大きなメリットがあると思ってしまいますね。

自分の現場にはピクサー・ユニバーシティはないですが、

本書を読んでから「メンバーを知って、信頼すること」を意識しています。

後輩とのミーティングでは雑談を挟んだりしながら進めたり、何が不安かを聞くようにしました。

最近では後輩から他の上司に言いづらい提案も

「ここの部分こうしたいんですけどどうでしょう?」と自分に言ってくれることも多くなりました。

後輩がそもそも優秀なのもありますが、ピクサーが自分の助けになったと思っています。

今回書いた内容は自分に刺さったほんの一部ですが

この本ではピクサーの知恵・ノウハウが詰まっています。

特にマネジメントをしている方にとっては明日から意識を変えられる内容になっているので

ぜひ手に取ってみてください。

ちなみにピクサーの制作失敗談もかなり面白いです。

トイ・ストーリー2のデータが消える話は想像しただけで手に汗かきました(笑)